【山梨グルメ旅】ワイナリーの屋外テラスで真冬のこたつディナー♪土窯で焼くジビエを初体験!

先日、“やまなし美酒美食フルコース”イベントという山梨県産の食材とお酒のスぺシャルなぺアリングを味わう招待制のメディアツアーに参加しました。2022年に富士河口湖付近に誕生した「7c|seven cedars winery」(セブンシダーズワイナリー)の屋外テラスで、土窯で炭火焼きにするジビエの香りに包まれながら、ワインや日本酒などを堪能。前代未聞の真冬のこたつディナーは、ライブ感が満載でした♪

フレンチ・中華・和食の注目シェフが共演するこの日限りのコース

冬の寒さも吹き飛ぶ、熱きシェフたちの屋外ディナー

今回腕をふるってくれたのは、山梨県内で活躍するフレンチ・中華・和食の注目シェフ3人。

2017年に河口湖近くでフランス料理店「TOYOSHIMA」を開業された豊島雅也氏は、2021年から2年連続でフランスのレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」で紹介された実力派シェフ。自ら狩猟をし、山梨県ジビエ料理審査員も務める“ジビエの巨匠”です。

2人目は、2021年にJR甲府駅近くに中華料理「NINGRAT」(二グラット)を開業した加藤亮平シェフ。東京の有名ホテルやミシュランで1つ星を獲得した名店などで働いた後、山梨で独立した注目シェフ。

3人目の山梨県甲府市出身の窪田帆貴氏は、ミシュランで2つ星を獲得した東京・神楽坂の名店で7年間修行したシェフ。これから山梨県内で自分の店を開業する和食の職人さんです。

左から豊島シェフ・加藤シェフ・窪田シェフ

料理のジャンルも、これまでのキャリアも異なる3人のシェフたちが、この日限りのコラボレーション・ディナーを開催。屋外のキッチン全景を見渡せるように一段高いところに客席が設置されており、かつての番組「料理の鉄人」のゲストにでもなったような気分で参加しました♪

風向きが変われば、香りも変わる。ライブ感がたまらない!

前菜の鹿ジャーキーと蒸し鶏。「7c|seven cedars winery」のスパークリングとともに

まずは「7c|seven cedars winery」の瓶内2次発酵のスパークリングで乾杯!

豊島シェフが狩猟で捕らえた地元の鹿のモモ肉を干した「鹿ジャーキー」と味わいます。「洋梨・りんご・蜂蜜・しょうがなどを使って風味をつけ、2週間熟成させて、あえてカピカピに乾燥させないでしっとりと仕上げました」と豊島氏。いい獲物が獲れた時にしか作れない貴重なものだとか。

鹿ジャーキーはかめばかむほどにやわらかいうまみが広がり、青りんごのような香りがする「7c|seven cedars winery」のスパークリングととてもよく合いました。

意外にジビエの独特の野生的な風味が薄く、食べやすいので驚き。豊島シェフの店には遠方からわざわざ“ジビエが苦手”というお客様もやってくるという話を聞いて納得です。

2品目の「蒸し鶏」は加藤シェフの一品。地元・塩山の信玄鶏をしっとりと蒸し、甘辛いタレとともに味わいます。ジュニパーベリーやシトラスなど、ジンの天然ボタニカルの風味を効かせたタレが絶品で、お皿が空になってからも「タレだけ残しておけないか?後でご飯にかけて食べたい」とわがままを言ってしまう参加者が続出でした。

豊島シェフの前菜「富士の介 薪の瞬間オイル」

3品目では豊島シェフが「富士の介はキングサーモンとにじますをかけ合わせた、山梨特産の品種です。アスリートみたいなしっかりとした身と、脂ののったうまみが魅力です」と説明。

2日間干した富士の介を、40℃の低温調理でしっとりと仕上げ、提供時に客席で燻製(くんせい)オイルをかけるとても豊かな香りの一品。さっぱりとしたらっきょうのソースで味わいました。

燻製風味の富士の介に、「7c|seven cedars winery」の甲州という品種の白ワインがこれまた絶妙な取り合わせ。樽(たる)熟成から生まれるワインのスモーキーな風味と見事に調和します。

さらに目の前の土窯から立ち上る炭火の香りが、風向きが変わるたびに客席まで届けられ、時折、そのいぶした香りまで融合するというライブ感。

オーケストラのように重層的に香りが広がったり、ソロ演奏のようなひと筋の香りに戻ったりして。これらが全て富士山の麓で偶然に起きているという大自然の演出に感動せずにはいられませんでした。

真冬の澄んだ夜空の下、あったか~い料理にいやされる幸せ♡

お椀(わん)は銀杏(ぎんなん)すりながし。純米大吟醸とともに

夜のとばりが降りた頃に味わうのが、温かいお椀と日本酒。これがまた格別。特設のテーブルの下はこたつになっているので足元はそれほど寒くないのですが、指先に冷えを感じる頃、とろりとやさしい和風だしが私たちを包み込んで癒やしてくれたのです。

窪田シェフは「銀杏すりながしに入っているのは天然のなまずです。今日、昼間にたまたま河口湖で釣れたので、あちらの土窯で炭火焼きにしました」と説明してくれました。

うなぎともまた違う、なまずの皮目の濃厚なうまみは、柚子(ゆず)の産地として有名な地元・富士川町の柚子と一緒に味わうとより美味。シェフたちはなまずのことを“湖のジビエ”と呼んでいました。

獲れたてのなまずは開いて炭火焼きに

そして数々の賞を受賞している日本酒「旦」(だん)シリーズのゴールドラベルの純米大吟醸も登場。都内ではなかなかお目にかかれない笹一酒造(大月市)のレアなお酒が登場して客席は大興奮。

スッポン焼売(しゅうまい)は屋外のせいろで豪快に蒸し上げる

次は加藤シェフの「スッポン焼売&富士桜ポーク腸詰め」。焼売はXO醤(じゃん)などで味付けしたものでコクがあり、天然のスッポンの卵までのっていたので驚きました。マスタードソースがいいアクセント。

濃厚なうまみの豚の腸詰めにはウイスキーハイボール。こちらは日本酒を醸す井出醸造所の富士北麓蒸留所で造られたウイスキー「大樹海」。日本酒を醸す蔵らしく、清酒酵母を使ったウイスキー。

熟成がこれからということもあり、ふんわりとやさしい味わいで、その世界観は確かに日本酒に通じるような気がしました。

狩猟から料理まで。命をいただく“またぎシェフ”の話

ロマンにあふれる豊島シェフの話に皆が引き込まれる

ここからは“食猟師”である豊島氏の舞台のはじまり。この日のためにわざわざ土に穴を掘り、石を敷き詰めて設えた土窯。その中で先ほどから炭火焼きにしていた正体が、ついに客席に運ばれてきました。

「雄の鹿、1歳半くらいですね。約2週間前に地元の野山で私が捕らえた獲物です」。豊島シェフにそう説明されても最初はピンとこない真っ黒いかたまり。狩猟で命の格闘の末、血抜きをした鹿を解体し、0℃で保管して氷温熟成させたものを朴葉で包んで炭火焼きにしたものだとか。

「料理は狩猟の瞬間からすでに始まっています」と話す“またぎシェフ”の独特の話に、参加者たちは箸を持つ手を止めて引き込まれました。

動物たちの足跡、耳の動き、命をいただく瞬間のうめき声、そして吹き抜ける森林の風…。まるで映画のワンシーンのように、狩猟の様子が伝わると、目の前の黒いかたまりが急に神聖で愛おしいものに見えてきました。

山梨の自然や大地を感じる「富士山麓鹿肉縄文焼き」

その日の鹿肉の状態を吟味して、もも肉の外側はジャーキーに、筋繊維の柔らかい内側は縄文焼きにしたという豊島シェフ。

美しい赤身の鹿肉は、しっかりしたかみごたえで美味。ジビエの風味が甘口のマデラソースと、風味が強めの山梨産のクレソンと見事に調和しています。香茸(こうたけ)がまるでトリュフのような役目に。

富士山の噴火により誕生したとされる富士河口湖。その河口湖の土で作った土窯で富士山麓の鹿ジビエを焼き上げ、山梨の赤ワインと一緒に味わう。すべて地元のもので構成された、山梨のテロワールを満喫できる一皿でした。

豊島シェフの鹿肉を使った、加藤シェフの麻婆豆腐

最後は豊島シェフがしとめた鹿肉を使った、加藤シェフの麻婆豆腐。蒸篭(せいろ)で豆腐を作るところから着手したという豆腐は、とろとろとやわらかく溶ける食感。

しびれる辛みがクセになる味。先に登場した「蒸し鶏」と言い、加藤シェフの料理は本当にご飯が進みます。「BRIGHT BLUE BREWING」のスパイスエールとともに。

鹿肉ジャーキーから始まって、なまずやスッポンの卵、鹿肉の縄文焼きと、これまで味わったことのない斬新な料理の連続。真冬の屋外こたつディナーはライブ感が満載で、とても興奮した夜となりました。

次回は3人のシェフたちのそれぞれのお店を楽しむ“山梨ホッピング旅”をしたいと思いました。近くに行かれた方はぜひ立ち寄ってみてくださいね〜♪

TOYOSHIMA」(豊島シェフの店)
所在地:山梨県南都留郡富士河口湖町船津3681-2
アクセス:河口湖駅から210m
営業時間:11:30~13:30(L.O.)/18:30~23:00(L.O.20:00)
※ランチ・ディナーともに要予約(前日まで)、日曜営業
定休日:水曜日/第2・第4木曜日(1月~3月狩猟のため、不定休)
電話:0555-75-0850(完全予約制)

NIGRAT」(加藤シェフの店)
所在地:山梨県甲府市武田2-1-14
アクセス:甲府駅北口より徒歩7分
営業時間:ランチ※土日のみ 12:00~14:00/ディナー 17:00~22:00
定休日:水曜日/木曜日/他、不定休有
電話:080-7613-9774