【ツムラ×欲望ラボ「和漢学校」に潜入】風邪の処方から災害時の備えまで!知っておきたい漢方
喉の痛みや鼻水、疲労感…。そんな身近な不調に、漢方を取り入れるのも手かも?ツムラ×欲望ラボによる「和漢学校」に参加して、先日そんなことを感じました。ツムラでも2人しかいないという漢方グランマイスターの坂本樹先生と、漢方に詳しいフリーアナウンサーの南美希子さんによる和漢のお話。3限目となる今回のテーマは「災害で役立つ和漢の知恵」。これからの寒い季節に備えて、風邪の症状に応じた処方も要チェックです。
災害発生からの時間経過で変わる、漢方薬の活用法
ツムラ×欲望ラボによる「和漢学校」で、災害時に役立つ和漢の知恵を学んだ。

最近多発している台風や地震などによる大規模災害。講演では、東日本大震災の被災地における漢方薬の活用事例が坂本樹先生によって紹介されました。ライフラインが十分に復旧せず、医療機器の使用が難しい環境でも、患者の症状を観察して治療方針を考えることが重要だったと話します。
避難生活で起こりやすい不調として、被災後2週間ほどは、寒さなどを背景に風邪や喉の痛み、咳、胃腸症状が多く、「桔梗湯」(ききょうとう)や「葛根湯」(かっこんとう)、「小青竜湯」(しょうせいりゅうとう)、「五苓散」(ごれいさん)などが使用されたそうです。
フリーアナウンサーの南美希子さん。日頃から実践している自らの体調管理についても紹介。

東日本大震災の事例では、発災から2~4週間ほど経過した時期に、乾燥したヘドロやがれきから生じる粉塵の影響で、鼻炎やくしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状が増加しました。
こうした症状には「小青竜湯」が用いられた事例が紹介されました。「小青竜湯」はさらさらした鼻水や痰を伴う咳、アレルギー性鼻炎、花粉症などに用いられる漢方薬として紹介されました。
さらに4~8週間ほどたつと、避難生活のストレスやプライバシーの不足、余震などの影響から、いらだちや不安、不眠、倦怠感が目立つようになったといいます。こうした心理的な負担に対する処方例として挙げられたのが「加味帰脾湯」(かみきひとう)。疲労や倦怠感に加えて、不安や不眠などを伴う状態に用いられることがあるようです。
また、災害医療チームのJMATが携行する医薬品には漢方薬も含まれており、講演では「抑肝散」(よくかんさん)や「芍薬甘草湯」(しゃくやくかんぞうとう)が紹介されました。
「抑肝散」は、神経の高ぶりやいらだち、不眠などに用いられる処方。「芍薬甘草湯」は、こむら返りや筋肉のけいれんなど、急な筋肉の緊張を伴う痛みに用いられています。
災害時の備えは、薬やマスクを用意するだけでなく、何のために使うのかを理解しておくことも重要です。
風邪の漢方選びは「体力と汗の状態」がポイント
薬剤師で漢方生薬ソムリエ(日本漢方生薬ソムリエ協会)でもある坂本樹先生。

さて、これから寒さが増していく時期、風邪対策は万全にしておきたいもの。坂本樹先生が特に強調されていたのが、風邪を引いた時の発汗の有無。「首の後ろから背中にかけて手を入れ、皮膚がさらさらしているか、じんわり湿っているかを確認して、発汗の状態を確認します」と説明されていました。
漢方では、症状の段階や体力、発汗の状態などを考慮して処方を使い分けます。講演では、風邪の急性期に関し、次のような使い分けが紹介されました。
・「麻黄湯」(まおうとう)・・・発熱や悪寒、関節の痛みが強く、体力がある人に
・「葛根湯」(かっこんとう)・・・体力が中程度で、悪寒や肩こりを伴う風邪に
・「桂枝湯」(けいしとう)・・・体力が低下し、汗をかきやすい人に
・「香蘇散」(こうそさん)・・・虚弱で胃腸が弱く、薬による負担が気になる人に
坂本樹先生が示した風邪の症状に対する漢方薬のいろいろ

「風邪を引く」という言葉には、東洋医学の考え方が残っているといわれています。講演では、約1,800年前の医学書『傷寒論』(しょうかんろん)を取り上げ、漢方が古くから風邪などの感染症に向き合ってきた歴史が紹介されました。
風邪の初期には悪寒や発熱、頭痛などが目立ちますが、時間がたつと咳や痰、胃腸の不調などが加わることもあります。こうした症状が混在する段階の処方例として紹介されたのが「柴胡桂枝湯」(さいこけいしとう)です。
左から欲望ラボの代表 山本貴代氏、坂本樹先生、南美希子さん

急性期に用いられる「桂枝湯」と、風邪がこじれた段階に用いられる「小柴胡湯」を組み合わせた処方で、複数の段階の症状が重なる場合に使われるようです。
また、風邪が治った後も微熱や倦怠感が残る場合、なかなか元気が戻らないときには「補中益気湯」(ほちゅうえっきとう)が紹介されました。漢方でいう「気虚」とは、活力や気力が不足した状態を指します。朝から疲れている、息切れしやすい、日中や食後に強い眠気があるといった状態が、その目安なのだとか。
秋の養生は体を冷やさないこと。梨を使った温かいデザートも
イベントには欲望ラボの会員やメディア関係者など漢方に興味のある人が多く集まりました。

秋の養生のポイントは体を冷やさないこと。登壇者の南美希子さんは、約15年前からこの時期になると湯たんぽを就寝時や出張時に活用しているそうです。
梨を使った温かいデザートや食養生の話でも盛り上がりました。中国のデザート「氷糖炖梨(ビンタンタンリー)」は、梨を半分に切って容器に入れ、氷砂糖と少量の水を加え、好みでクコの実やナツメを加えて加熱するだけ。本来は蒸して作るようですが、電子レンジで梨が柔らかくなるまで温めてもよいそうです。
9月29日はかぜ備えの日、そして10月13日は国際防災デー。日頃から自分の体調を知り、食事や保温、休養を意識することが、いざというときの備えにもつながります。今回の漢方の知識もぜひその参考にしてみてください。
なお漢方薬は体質や症状によって適した処方が異なり、甘草を含む薬の重複などにも注意が必要です。自己判断での長期服用は避け、医師や薬剤師に相談しながら取り入れましょう。
※薬の効能・効果はイベントで行われた一般的な説明であり、個人の症状に対する服用を推奨するものではありません。












