2025年だけでも25個の賞に輝いた日本酒「吟天」シリーズのペアリング会に、美食家が集うワケ

2017年に誕生して以来、国内外のお酒のコンテストで累計38個のアワードを受賞して注目の日本酒ブランド「吟天」。「吟天」は日本酒の銘柄名であり、酒販店名でもありますが、酒蔵のように自ら酒を醸す存在ではありません。“コース料理にペアリングする日本酒”をコンセプトに、各地の酒蔵と協働しながら酒質(酒の味や個性)を設計し、蔵元に醸造依頼して販売まで手掛けています。いわば日本酒プロデューサー「吟天」を紹介。

酒コンテストで年間25個の受賞に輝く!酒のネゴシアンとは?

「吟天」ブランドの日本酒は飲食店などに卸しているほか、オンライン通販でも販売されている。(撮影:綿田博吉)

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「吟天はワインの世界で言えば“ネゴシアン”のような役割です」と話すのは、「吟天」の代表を務める小田切崇社長。実際、彼の名刺には「ネゴシアン」の肩書も記載されています。

時には日本酒のアッサンブラージュ(精密なブレンド)や長期低温熟成も自社で行っているプライベート・ブランド「吟天」は、料理との相性や飲み手の体験までを見据えて日本酒を生み出している点が最大の特徴です。

もともと大の日本酒好きだった小田切氏は、IT企業勤務時代に利き酒の資格を取得。その頃から日本酒のペアリング美食会を開催しています。長年にわたって多くの酒と向き合い、蔵元や飲食業界との交流を重ねながら、日本酒文化を広めたいと独立。2017年に酒販免許を取得し、「吟天」ブランドを立ち上げました。

左:「吟天」の小田切崇社長、右:「手打ち蕎麦 汐見」の店主汐見さん(右写真の左側)たち(撮影:綿田博吉)

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さらに2022年からは酒米の王様と言われる「山田錦」や「愛山」の自然栽培にも着手。酒米自身のたくましい生命力で育った無農薬の酒米を使って、高級レストランや鮨店向けのお酒の醸造を酒蔵に依頼しています。担当している酒蔵は南部美人(岩手県)や千代むすび酒造(鳥取県)といった有名蔵。

「吟天」ブランドの日本酒は現在 10 種類(2026 年 3 月時点)。さまざまなタイプのお酒をプロデュースし、2025 年だけでも国内外のお酒のコンテストで 25 個の賞に輝きました。

小田切氏は飲食店や酒蔵を応援するため、30年以上、日本酒の美食会を定期的に開催しており、現在は「吟天グルメ」の名で親しまれています。毎月開催されている「吟天グルメ」、2026年2月のペアリング会に潜入してきました。

名高き蕎麦店で、「吟天」のスパークリングや純米大吟醸に舌鼓

「手打ち蕎麦 汐見」の外観。店内は落ち着いた空間で個室、カウンター、テーブル席がある

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都内、早稲田駅から徒歩10分。日本酒ペアリング美食会「吟天グルメ」は、並木通りにたたずむ隠れ家「手打ち蕎麦 汐見」で開催されています。

2024年と2025年の2年連続で、「食ベログ百名店」に選ばれた評判高き店。産地直送の旬の食材をふんだんに使った日本料理と手打ち蕎麦が絶品です。

日本酒は「十四代」や「新政」など人気の希少酒をはじめ、「千代むすび」「七賢」など常時、約20種がラインアップ。唎酒師が3名在籍し、お料理に合ったお酒を丁寧に提案してくれます。同店主催の日本酒会も頻繁に開催されています。

「竹の子の唐揚げ」と「吟天水龍」。熱々の唐揚げに冷えたスパークリングが最高に合う。(右写真の画像提供:吟天)

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風味豊かな竹の子の唐揚げに合わせるのは、「吟天水龍」(製造:山梨銘醸、山梨県/吟天通販サイト価格5,060円)。シャンパンと同じように瓶内2次発酵の製法で、瓶詰めしてから6年間熟成させた上質なお酒。

きめ細やかな泡が竹の子をやさしく包み込み、後味はすっきりした余韻。肉料理などにもとても合いそうなスパークリングです。提供ごとに小田切氏が丁寧にお酒の特徴を説明してくれます。

コースのお酒は全て「吟天」の通販サイトで販売しているので、気に入ったお酒は後からまとめて購入もできます。

野菜の甘みが際立つ「蕪とちぢみほうれん草の生ゆばズワイガニあんかけ」。合わせた日本酒は「真澄 真朱AKA」(宮坂醸造、長野県)

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「そばがき椀 白味噌仕立て」には「寒菊 閏日」(寒菊銘醸、千葉県) (撮影:綿田博吉)

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「寒菊 閏日(じゅんじつ)-Special One-」は、4年に一度、オリンピックイヤーの閏日(うるう日=2月29日)に搾る超限定の純米大吟醸。酒米「五百万石」を、“数字合わせて”で精米歩合29%に磨いて醸し、「吟天」のマイナス6度の貯蔵庫で熟成させたもの。

柑橘系のニュアンスのあるお酒で、そばかきのシンプルな風味や、やわらかい白味噌の風味ととてもよく合います。

左:「鰤しゃぶ」には「陸奥八仙 吟烏帽子」、右:「ズワイガニと塩水ウニの巻き寿司」には「吟天花龍」

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2025年6月にリリースされて以来、国内外の酒コンテストで7つもの受賞歴がある注目酒が「吟天花龍」(製造:南部美人、岩手県/吟天通販サイト価格9,900円)。酒米「山田錦」の発祥の地、兵庫県小野市で、「吟天」関係者が自分たちで無農薬・無化学肥料で育てた「山田錦」を40%まで精米して醸した純米大吟醸。

華やかな花の香りが広がり、柔らかな飲み口。巻き寿司のカニやウニのうまみと見事に一体化し、美しい余韻に浸れます。

2026年1月の「食べるJAPAN 美味アワード」の「シェフが選ぶ美酒アワード2026」ではフレンチに合う日本酒として選出され、モナコ公国で開催された日本酒のコンテストではモッツァレラチーズに合うお酒として選ばれました。洋食全般にも合わせたい口福のお酒。

鴨鍋と「吟天龍王」の威風堂々たる共演、感動的なコースの山場

左:「鴨鍋」には「吟天龍王」、右:天ぷらはレンコン、淡路島産の新玉ねぎ、海老。

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「吟天龍王」(製造:本田商店、兵庫県/吟天通販サイト価格22,000円)は、和牛ステーキなど脂ののった濃厚なメイン料理に合わせて造られた熟成酒。ぬる燗で提供され、口に含むとまろやかなうまみが広がり、鴨の出汁と一体化していく瞬間が感動的です。

このお酒は米麹だけでぜいたくに造る“全麹仕込み”の甘くて濃厚なお酒を20年以上も熟成。数種類、“アッサンブラージュ”(精緻にブレンド)しており、甘美な香りとともに、うまみと甘み、コク、酸味などが重層的に凝縮しています。

フランスの「Kura Master」熟成酒部門でプラチナ賞を、イタリアの「ミラノ サケ チャレンジ」熟成酒部門で金賞を受賞(ともに2025年)するなど、国内外で高い評価を受けているお酒。金琥珀(こはく)の堂々たる見栄えで、コースの山場を優雅に盛り上げてくれます。

天ぷらには瓶内2次発酵の「天山スパークリング」(天山酒造、佐賀県)

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コースのフィナーレを飾る「生あおさそば」は十割蕎麦

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最後はお店自慢のお蕎麦。「汐見」では秋になると社員全員で蕎麦畑まで足を運び、新蕎麦の収穫を体験するのだそう。群馬県赤城の蕎麦にこだわって仕入れ、毎朝自家製粉を挽くところから始まります。

その日の分だけ、何度かに分けて手打ちする蕎麦は、十割なのに細くてしなやか、なめらかな舌ざわりで驚きます。

日本酒好きの食通たちと楽しく過ごす「吟天グルメ」会、同店での3月の料理は馬刺のユッケ、鮮やかなうすい豆のすり流し、金柑ソースの焼き魚などだそう。今回はお蕎麦の「汐見」での会でしたが、フレンチ・中華・イタリアンなども企画されているようです。

評判高き「吟天」を一度に少しずつ種類豊富に味わえる貴重な機会、ぜひ「吟天グルメ」(Instagramアカウント @ginten_chefsake)をチェックしてみてください。

手打ち蕎麦 汐見
住所:新宿区早稲田鶴巻町556 松下ビル1F
電話:050-3033-4404(完全予約制)
営業時間:
・ランチ12:00 〜(14:00閉店、事前予約制・コースのみ、日曜日・祝日のみの営業)
・ディナー17:30〜22:00 (最終入店20:00)
定休日:水曜日、第1・3火曜日(2026年4月から水曜日のみ定休に変更)
席数:26席、個室あり・貸し切りOK・車椅子の入店可
料理:コース13,000円〜、「早割17:30 〜1、1,000円」「遅割20:00〜、11,000円」あり。全て税込。
Instagramアカウント:@soba_shiomi