2023年 最も売り上げを伸ばした漢方薬「KAMPO OF THE YEAR 2023」
漢方薬でおなじみのクラシエ薬品は、漢方薬市場の動向や、2023年に売り上げを伸ばした注目の漢方薬をまとめた「KAMPO OF THE YEAR2023」を発表しました。半世紀以上、暮らしに寄り添った漢方薬を提供してきたクラシエのこの企画は、漢方市場の動きから生活者が抱える不調を読み解き、漢方のトレンドを予測することで1年を振り返るきっかけになればとの想いで実施しています。
漢方薬市場は一般・医療用ともに直近6年で堅実に成長
薬局やドラッグストアで販売される一般用漢方薬の市場規模は、直近6年では増加傾向にあり堅実な成長を見せています。
2021年度はコロナ禍における漢方風邪薬の落ち込みにより減少傾向となりましたが、昨年から回復に転じ、今年は前年比113%を見込んでいます。
また、医療用漢方薬市場も直近6年で継続的に成長。2023 年度は前年比103%を見込んでいます。
20 代・30代の若年層で購買指数が上昇傾向に
今年度の一般用漢方薬市場では、20 代・30代の若年層需要の増加傾向が見られました。漢方薬の需要は幅広い年代に広がっている様子が窺えます。
昨年に続き“のどの異常”に関連する処方が伸長
一般用漢方薬市場において、1月~10月の期間で最も伸長率が高かった漢方処方は、しゃがれ声やのどの痛みに対応する「響声破笛丸」という結果になりました。2位、3位には咳関連の処方である「麦門冬湯」「五虎湯」が入り、上位3位は全て“のどの異常”に関連する処方がランクインしています。
のどに関する処方が伸びた要因としては、新型コロナウイルスの影響で以前よりも咳への対処意向が高まったことで、セルフメディケーション需要が高まったことが推察されます。
2023年の漢方トレンド
2023年の漢方薬市場において、注目すべきトレンドは「アレルギー性鼻炎(花粉症)」、「 耳鳴り」です。
一般的に鼻炎に使われる漢方薬「小青竜湯」の需要は、2019年から 2022年にかけて大きく縮小しましたが、2023年は需要が再拡大しています。この背景には、今年の花粉飛散量が例年よりも多かったことや、脱マスクによる影響が考えられます。
耳鳴りに対応する「七物降下湯」「当帰芍薬散」が昨年に続き大きく伸長したことも今年の特徴の一つです。高齢化社会の到来による患者数の増加をベースに、一般用漢方薬での対処という選択が広がっていることが推察されます。
来年拡大が予想されるカテゴリーは?
女性活躍の推進や社会の意識変化などを要因に“フェムケア”、“フェムテック”領域には引き続き高い関心が寄せられています。漢方薬は PMSや月経不順、更年期といった症状に対し、そのような病名がなかった時代から、女性の特有の疾患効果があるとして用いられてきました。
女性の特有の多種多様な悩みと漢方薬の親和性は高く、実際にフェムテック、フェムケアという言葉が日本で広がり始めた 2019年前後から女性疾患処方の伸長が顕著に表れており、年平均11.7%の成長率で拡大しています。
フェムケア関連市場の拡大とも相まって、漢方薬の視点からも非常に注目度の高いカテゴリーであるといえます。
本格的に“脱コロナ”の時代を迎えた2023年は、制限緩和により人々の生活も変化し、漢方薬の需要にも影響が表れた一年でした。需要が多い漢方を知ることで時代のトレンドも知られるひとつの指標になりますね。漢方薬を上手に生活に取り入れてなんとなくの不調を軽減していきたいものです。