【山梨ワイン旅】日本ワインコンクール2022で金賞を受賞した「マルス穂坂ワイナリー」へ

ワインの新酒が出回る季節となりました。フランス・ボジョレー地方は、今年は11月17日が解禁日。国内では山梨県内で今年収穫されたブドウで、甲州またはマスカット・ベーリーAという品種を使って醸造された新酒ワインを「山梨ヌーボー」と呼びます。その解禁日は11月3日。今回は「日本ワインコンクール2022」で金賞を受賞された本坊酒造の「マルス穂坂ワイナリー」を訪問してきました。

マルス穂坂ワイナリーで醸造したワインとして初の金賞に輝く

マルス穂坂ワイナリーのワイン

新宿駅から特急で約1時間40分。JR韮崎駅に降り立つと、都心とは違う空気の清々しさにまず驚きます。韮崎駅からタクシーで15分、「マルス穂坂ワイナリー」に到着。

途中、フランスの有名レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」でも取り上げられている有名フレンチ「La Cueillette」(ラ・キュイエット)でランチをすませてから向かうのもおすすめ。(ただしこちらは1カ月先まで予約で満席なので、運よく予約できればです)。

「マルス穂坂ワイナリー」は鹿児島に本社のある本坊酒造が山梨で醸造拠点とするワイナリー。今年で創業150周年を迎える本坊酒造は、鹿児島で焼酎や梅酒、ウイスキーなどを製造しています。

1960年に山梨県笛吹市石和町に「マルス山梨ワイナリー」を開設し、山梨の風土を生かしたワイン造りをスタートしました。

マルス穂坂ワイナリーの久内一氏左:本坊酒造の 取締役 甲信事業部長 久内一氏
右:シャトーマルス 穂坂日之城 シャルドネ プライベートリザーブ 2019

2000年には韮崎市穂坂地区に本坊酒造の農園「穂坂日之城農場」を開設し、高品質なワイン用ブドウの栽培を開始。そして2017年に山梨県内に2つ目となる「マルス穂坂ワイナリー」(山梨県韮崎市)を新設。

今回「マルス穂坂ワイナリー」の方を訪れたのは、こちらで生産された「シャトーマルス 穂坂日之城 シャルドネ プライベートリザーブ 2019」が、「日本ワインコンクール2022」で見事、金賞を受賞されたから(欧州系品種 白部門)。「マルス穂坂ワイナリー」で醸造したワインとしては初の金賞に輝きました。

2022年8月に開催されたコンクールの表彰式では、本坊酒造 取締役 甲信事業部長 久内一氏は次のように話されました。

「受賞ワインは自社の穂坂日之城農場の完熟したシャルドネを厳選使用したもの。スキンコンタクトという、ブドウの皮の裏側にあるうまみを引き出す特別な製法を用いたワインです。これをフレンチオークの樽(たる)で熟成させました。果実の香りと樽の香りとのバランスがよく、ふくよかな味わいに仕上がっております」。

ワイナリーの隣にはブドウ畑が美しく広がる♡

マルス穂坂ワイナリーのビジター棟

マルス穂坂ワイナリーにはビジター棟(写真上)と醸造棟の2つの見学施設があります。そしてこれらの棟の反対側には、見事なブドウ畑の傾斜が広がっているのです。思わず深呼吸したくなる広大な緑。

マルス穂坂ワイナリーのブドウ畑

まずは醸造棟から見学。私が訪問した時は、見学ツアーの開始時間などはなく、自由に施設内を見学できました。最初にブドウを除梗したり、圧搾したりする機械が見えてきます。

マルス穂坂ワイナリーの圧搾機械ブドウの実を圧搾する機械

マルス穂坂ワイナリーのコンベアー除梗する前のブドウを運ぶコンベアー

このようなコンベアーにのせられて、除梗破砕機で果梗から外されてバラバラになったブドウの実や、圧搾された果汁が発酵タンクまで運ばれます。

訪問時はワインの製造日ではなかったのですが、それでも立派な発酵タンクが並んでおり、迫力がありました。製造期間中(7月下旬〜10月下旬)だと、実際にワインを製造している様子もじっくりと見学できるようです。

マルス穂坂ワイナリーのタンク醸造棟にぎっしり並んでいるワインの発酵タンク

実際にワインを製造していなくても、ワインの香りがふんわりと漂う空間。醸造の工程図なども展示されており、分かりやすくてワインの専門知識がなくても楽しめます。

マルス穂坂ワイナリーの醸造工程図白ワインと赤ワインの醸造工程図

マルス穂坂ワイナリーの展示コーナー

棟内にはワイナリーの歴史や受賞歴、農園の詳細、山梨テロワールなどについて説明してある展示コーナーもありました。

至福のテイスティング・タイム♪珍しい限定ワインも発見

マルス穂坂ワイナリーの和甕熟成ワイン「MARS-NEO-」

和甕熟成ワイン「MARS-NEO-」

醸造棟の次にビジター棟に着くと、さまざまな受賞ワインが展示されています。「日本ワインコンクール2022」では金賞だけでなく、銀賞、銅賞も受賞されており、それらも展示されていました。

中でも個人的に気になったのは、ワインなのに和甕(かめ)で自然発酵(無補糖・無ろか)させたという「MARS-NEO-」。まるで紹興酒や日本酒の熟成酒のようなワインなのでしょうか…。どんな味わいなのか想像がつきません。ショップ限定ワインなど、ここでしか買えない商品もありました。

ビジター棟の有料ワインバーでは、ワインの試飲とワインに合うおつまみの組み合わせを体験できます。

白ワイン6種(45ml・200円〜)、赤ワイン6種(45ml・200円〜)、スパークリングワインは2種(そのうち1種はにごりワイン)。ほかにノンアルコールのぶどうジュース(100ml・200円)などのテイスティングができます。さまざまな種類をいろいろ試せるのが魅力ですね。

マルス穂坂ワイナリーのロゴ

マルスブランドといえば赤と青のステキなロゴ。創業当時からの本坊酒造のイメージシンボルである“星”、そしてそれを火星のMARS(マーズ)と、戦いの神という意味を持つMARS(マルス)にちなんで名付けられたのだそう。

穂坂の大地に感謝しながら、いろいろと少しずつ味わうワインは格別でした。山梨に行かれる際に、ぜひ立ち寄ってみては?

マルス穂坂ワイナリー(本坊酒造株式会社)
所在地 山梨県韮崎市穂坂町上今井8-1
TEL 0551-45-8883
営業時間 3月~11月 9:00~17:00/12月~2月 10:00~16:00
入館 無料(試飲は有料)
売店 有
見学時間 約30分程度 ※自由見学
駐車場 有